本業はエクステリア、印象的な社名と製品開発によりSNSで話題に

徳島県石井町に㈱ぜったいパンダというユニークな社名の外構工事会社がある。米田茂社長(48歳)によると、この社名は次女( 22歳)の幼い頃のエピソードに由来するという。次女が3歳のときに、地元の動物園に当時話題のレッサーパンダを見に連れて行ったところ大喜び。本人的には「レッサーパンダ」と連呼したつもりだったが、周りの大人には「ぜったいパンダ」としか聞こえなかった。米田社長はその思い出が忘れられず、起業の際にありふれた社名をつけても埋没するだけ」と思い切って次女の発した言葉を社名に取り入れた。効果は上々で「名刺交換の際に会話のキッカケになり、受注に結びつくこともある」とか。

また、米田社長の長女への思いも深く、「健康面で不安を抱える娘を笑顔にしたい」という思いもあってさまざまな「パンダ」製品を生み出している。そのひとつが2022年の「パンダそうめん」の開発だ。地元の製麺所の協力を得て、そうめんの原料の小麦粉に竹炭を混ぜ込んで練り、黒い乾麺にして束にした。と同時に従来の白い麺の束も揃え、白黒の束を交互に組み合わせてパッケージング。当初は外構工事の施主への竣工祝いの記念品としてつくったものだったが、これがSNSで話題に。「いっそ製品化しよう」とチャレンジし、現在はオンラインショップで販売している。オリジナル記念品の開発はその後もつづき、県内の那賀町で生産される銘柄米「ゆうだい」もパンダデザインの袋に詰めて発売。商品名も社名と米田社長の苗字をもじった「ぜったい米だ」と名づけたところ、これも人気に。同町のふるさと納税の返礼品として登録されている。

施工のモットーは「顧客に寄りそう」
オリジナル記念品のパンダそうめんとパンダ米

経営理念は「ぜったい笑顔」、地元も娘も元気にする仕事を

他方、本業の外構工事では「顧客に寄り添う」をモットーとしており、顧客と綿密に打ち合わせを重ねるという。「自宅の外回りに愛着を持ってほしい」との願いから、顧客には壁塗りなどに参加してもらうこともあるそうだ。もちろん、顧客の要望を形にするためには妥協をせず、細部にまでとことんこだわる。たとえば「ある住宅メーカーのモデルルームの外構工事で庭に小川を設けたケースでは、実際に山に足を踏み入れて自然の小川を観察して忠実に再現した」と米田社長。「水の循環設備を取り入れ、つねに水が流れるシステムを造り上げた」という。

本業へのこだわりと娘への想いを貫く米田社長。地域貢献にも熱心で、オリジナル記念品の売上金の一部を地元の社会福祉活動の支援のために寄付しているそうだ。「私を育ててくれた地元に恩返ししたい」と、米田社長は地元とともに成長する決意をあらたにしている。

「仕事で娘と地元を元気づけたい」と語る米田社長
庭に小川を流した施工例

中岸真史さん
鳴門ガス㈱

米田社長が創業した㈱ぜったいパンダは、エクステリアの設計・施工を行う外構工事会社です。近年では徳島県名産の半田そうめんとコラボした商品や県産のお米、自社ロゴの入ったアイテムを販売、展示会に出品されるなど、非常におもしろい取り組みをされています。本業での誠実な対応はもちろん、さまざまなアイデアを実行に移す行動力で商品を生み出し、それが地域貢献につながるという、これからの時代に合った経営をされています。