業務用氷みつの販路拡大、積極果敢な業容拡大で売り上げアップ

イチゴ、レモン、メロンなど、かき氷に欠かせないのが氷みつ(シロップ)だ。その氷みつをつくりつづけて70年になるのが、南国宮崎に拠点を置く㈱ハニーだ。 社長の三棹健只氏(48歳)によれば、先々代から氷みつづくりに励んできたそうだ。その昔は愛媛県八幡浜で、一升瓶にかき氷のみつを詰めて海の家に販売していたという。宮崎に拠点を移してからはこの業務用氷みつの販路拡大をはかろうと、先代がパッケージを紙パックに一新。「これにより流通が改善されて、販売先を九州から全国へと広げていくことができた」そうだ。2009年からは毎年FOODEXJAPAN(国際食品・飲料展)に出展し年々、販路を広げている。

また同社ではこれまで、主力商品である業務用氷みつからさまざまな事業を生み出してきた。1960年代には、氷みつの製造過程で生まれる蒸留水からクルマのバッテリー補充液を製造して販売する事業をスタート。70~80年代にはプラスチック成形部門を立ち上げて自社製品用のボトルの製造を内製化し、その後、他社向けのボトル製品の販売事業にも乗り出した。

このような積極果敢な業容拡大によって、飲料、食品、ボトル、カーケミカルと幅広い事業で着実に売り上げを伸ばしている。近年では三棹社長が陣頭指揮をとり、時流の変化に対応しようとさまざまな挑戦をつづけている。たとえば2020年、翌年から「HACCP( 衛生管理を最適化・見える化して製品の安全性を確保する手法)」が完全義務化されるのを見据え、HACCPをベースとしてより厳密な食品安全・品質向上を行っていくマネジメントシステム「ISO22000」の認証を取得、さらに国際的にも評価が高く、より強固な管理体制の構築・運用が求められる「FSSC22000」も取得し、食品安全性という点でも最高ランクのレベルを保持している。

 

容器が紙パックに変わってから大躍進の氷みつ
HACCPへの対応や新商品の開発と販路開拓など、さまざまな挑戦をつづける三棹健只社長

炭酸水と混ぜるだけ、飲んだ気になるノンアル「warocca」を開発

また、昨年にはアルコール飲料と清涼飲料の間隙をついたアイデア商品「warocca(ワロッカ)」を新発売し、話題になっている。これは「飲んだ気になる、ノンアル」がコンセプトのノンアルコールベースシロップで「果汁入りでアルコールの香りがついているため、酔わずに食事が楽しめる」のがウリ。

「これまでノンアルコールドリンクは種類がかぎられていたが、ワロッカなら飲み方イロイロ、お酒を飲まない人、飲めない人も多様な楽しみ方ができる」という。これまで多くの挑戦を重ねてきた同社、三棹社長は「ぜひこの新商品でもあらたな販路を切り拓きたい」としている。実にグローカル、意欲的である。

2006 年1月に完成した花見工業団地の新社屋
「飲んだ気になるノンアル」がコンセプトの新商品warocca(ワロッカ)

宝徳修さん
(公財)宮崎県産業振興機構企業成長促進室 プロジェクトマネージャー

三棹社長との面談の際、時に楽しみながらあれこれ解決策を考えている姿がとても印象的です。まさに同社が大事にしている「ワクワク感」を体現されていると思います。社長就任後、さまざまな改革を実行中ですが、コロナ禍でイベント需要が激減するなか、主力の氷みつも販売減少、 それを補うため、シーズニング・フレーバー「夢フル」の拡販やノンアルコールベースシロップ「warocca」の開発など、市場の変化に対応した商品をつぎつぎに投入して話題になっています。これからもワク ワクする商品を心待ちにしています!