死者 248 人(行方不明者を含む)を出した能登半島地震の発生から5 月で5 カ月。被災地には全国の災害ボランティアが足を運び、支援活動をつづけている。NPO 法人ユナイテッド・アース(本部兵庫県神戸市、渕上智信理事長) もそのひとつで、発災 5 日目に現地入りして石川県七尾市に拠点を設けた。その理由は、七尾市は奥能登地方への玄関口に位置しているため、被災地全体の復興をすすめるうえでも、七尾市の復興が重要だと考えたためだ。
これまでに延べ 800 人以上のボランティアがガレキの撤去や家屋の清掃、災害ゴミの運搬などの活動を展開している。同法人は地域の産業支援にも力を入れ、市内の中心商店街で月1 回、商店主らが店を出すマルシェ運営をサポートし、営業再開の背中を押している。
設立は2006 年。これまで東日本大震災(11 年)や熊本地震(16 年)などの被災地に延べ約 4 万人のボランティアを派遣し、支援活動を重ねてきた。同法人の現地活動リーダーをしている岡本好市氏によると、今回の能登半島地震での活動を通じて浮かび上がった課題はボランティアの少なさだったという。全国社会福祉協議会のサイトによると、発災から2 月2 日までの1 カ月間の延べボランティア活動者数は4506 人で、同じ期間の 2016 年熊本地震(4 月14 日発災、5 月15 日時点)の 5 万 2093 人と比較すると約 12 分の1 にとどまり、実働中のボランティアも県に登録している人の約 1 割にすぎない。岡本氏はその理由について、ボランティアの受け入れ態勢が整っていなかった発災当初に、ボランティア活動の自粛を呼びかけた影響がいまなお尾を引いていることと、ボランティアを被災地に運ぶバスの便数がかぎられ、人員を十分に送りこめないこと、宿泊施設の再開もままならない状況がつづいていたことなどをあげる。「マンパワーが足りず、復興の遅れにつながる」ことが懸念されている。
同法人事務局長の上本修二氏は、復興の道筋について「ボランティアを含めた産官学民の連携が不可欠。交流人口を増やして移住者を呼び込み、あらたな産業や雇用を生み出すなど、まちの地震前の元の状態に戻すのではなく、あたらしいまちの創造が重要だ」と話している。
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NPO 法人ユナイテッド・アース
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