オリジナリティ溢れる、北九州市7区をかたどったクッキー
北九州市に本社を置くましじめ㈱は、地域情報サイトや商店街のホームページなどのウェブ制作会社だ。地元出身の田村章吾社長と妻の奏子さんの2人で運営している。
章吾社長は元自動車整備士。専門学校卒業後に自動車整備士として働いていた際、ネットの友人を介してウェブ制作に興味を持ち、専門的に勉強するようになったという。そしてついには独立、2013年に同社を立ち上げた。社名の「ましじめ」は、すでに締まっているボルトをさらにきつく締め上げる「増し締め」という工業用語に由来する。
そんな同社が2022年にはじめた焼き菓子の製造・販売事業が話題に。「もともと妻が焼き菓子づくりを趣味としていたので、新事業として立ち上げた。長男の碧生、章吾、奏子の頭文字を取って“あしかクッキー”のブランド名で製品化し、絵を描くのが好きな碧生がパッケージデザインの草案をつくってくれた」と章吾社長は話す。
立ち上げから1年ほど、クリスマスなどの季節に合わせたデザイン缶入りの焼き菓子をネット販売していたが、「せっかくなら地元の北九州に貢献できる商品をつくりたい」と北九州市の7区をかたどったクッキーを考案、これを「区ッキー」として売り出すことに。「当初は一色で作っていたが、いろいろな人から〝もっとそれぞれの区の形がハッキリわかったほうがいい〟とアドバイスされ、野菜パウダーなどを使って区ごとに色分けすることにした。門司はニンジン、小倉北はココア、小倉南は紫芋と、鮮やかな色合いで多様な味を楽しめる」とのこと。抜型の原型は、章吾社長が3Dプリンターで作成。ベーキングパウダーは使用せず、通常よりも低い温度で時間をかけてジックリ焼成することで、サクッとした食感の素朴な味わいを実現したという。
「区ッキー」を地域に貢献・代表するお土産に!
この地域愛が詰まった「区ッキー」は、地元百貨店の催事で販売するなど露出が増えるにつれてジワジワと知名度も上昇。そして、23年10月に北九州市で開催された将棋の「第36期竜王戦七番勝負第3局」では〝勝負スイーツ〟に選ばれたことで一気に話題になった。
将棋ファンを中心に全国から問い合わせがくるようになり、地元のお土産ショップや百貨店でも取り扱われるようになった。「すべて手作りなので、今は月に500個程度の製造が限界。今後、量産体制を整えて、味のバリエーションを増やすことも検討していきたい。地域を代表するお土産にすることが目標」と田村社長は目を輝かせる。
ましじめ㈱
福岡県北九州市小倉北区魚町2-1-7 ACT松永ビル 5F TEL:050-3708-1017
設立:2013年 従業員:2名 資本金:5万円
能美育恵さん
北九州商工会議所専門相談部長
企画力が強みのましじめ㈱ならではの発想と、「北九州市の魅力を知ってほしい」という田村社長の情熱が形となり、北九州市のあらたな土産品「区ッキー」が誕生しました。つぎからつぎへと独自性・新規性のあるアイデアを具現化していく田村社長にいつも驚かされます。「区ッキー」で北九州市を元気にしてほしい!これからも楽しみな会社です。あらたなビジョンの実現に向けて挑戦しつづけるましじめ㈱を、同じ目線で応援しつづけます。
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