個人消費低迷がつづくなか、「冷凍食品」は
国内生産額・消費額ともに拡大傾向をキープ!!
8月15日、内閣府は今年4 ~ 6月期の国内総生産(GDP)速報値を発表、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比0.8㌫増、年率換算で3.1㌫増となった。押し上げ要因としては、GDPの半分以上を占める「個人消費」が実に1年3カ月ぶりにプラスに転じた(前期比+1.0㌫)ことが大きいという。だが、これは長らく低迷していた国民の消費活動が復活したことを意味しない。そもそも個人消費はコロナ禍やその後の極端な円安、原材料高騰などで今年1 ~ 3月期まで4四半期連続で前期比マイナスで、リーマンショック後の2009年1 ~ 3月期以来の低水準で推移していた。そこから前期比+1.0㌫となったのは喜ばしいが、増加分の過半は、年初の自動車メーカーの認証不正問題が落ち着いて生産・出荷が再開し、自動車関連消費が回復した影響だという。つまりこの影響を除けば個人消費は依然として弱いままであり、引きつづき円安や物価高で家庭の支出は低迷しているのだ。
こうしたなか、コロナ禍前から堅調に伸びつづけている分野として、今号では「冷凍食品」に注目したい。1980 ~ 90年代に進化・多様化した冷凍食品の市場は冷凍技術の進歩とともに急拡大し、近年では冷凍食品といえば弁当だけでなく、日々の食卓や外食産業においてもお馴染みの存在となっている。さらに働き方改革の推進や共働き世帯の増加、そしてコロナ禍に自宅で食事をする機会が増えたことで、手間いらずで高品質な冷凍食品が注目を浴びている。(一社)日本冷凍食品協会によれば、2023年の冷凍食品の国内生産額は前年比2.1㌫増の7799億円と4年連続で増加、国内消費額は3.4㌫増の1兆2472億円に達したという。
もちろん商品の多様化もすすんでいる。冷凍食品を1300種ほど扱う「みんなの業務用スーパー リンクス」などの専門スーパーも台頭、イオンリテールは冷凍食品専門店「@FROZEN」を首都圏を中心に展開し好評だ。また、シニア層などへの冷凍食品の訴求はまだまだこれからといわれており、さらなる市場拡大が期待できる。こうしたなかにあって、最新の冷凍技術を取り入れて新規事業にチャレンジする中小企業やスタートアップの活躍も目立ってきている。さっそく、冷凍食品業界とそのビジネスの動向を紹介したい。
(つづきは誌面で‼)