国の放課後等デイサービス制度を生かす
学習塾運営の㈱フルスイングリージェンシーは発達障がい、またはその疑いのあるいわゆる「グレーゾーン」の小中学生、高校生を指導する放課後等デイサービス事業に取り組んでいる。放課後等デイサービスとは、学習支援の必要な就学児童・生徒を平日の放課後、夏休みなどの長期休暇期間中に一時預かり、勉強を教える制度のこと。厚生労働省の補助事業として2012年に制度化された。同社の木曽竹一郎社長は20年以上、学習塾を営み、その過程で教え子に一定程度の発達障がい、グレーゾーンの子どもが存在することを実感。文部科学省の統計では発達障がい、グレーゾーンの子は児童・生徒全体の10%近くに達するといい、木曽社長はこうした子どもの「可能性を引き出そう」と約3年前にこの事業に乗り出した。
指導法はユニークで、まず米国で開発されたWISC(ウィスク)検査という脳機能検査を子どもに実施し、視覚や聴覚など、どの分野が得意なのかを数値化する。この検査結果にもとづき、たとえば視覚機能は劣っていても聴覚機能が優れていれば読み書きの指導は控え、口述を中心に指導する。
木曽社長は府内5カ所に指導拠点を置き、これまで100人以上の子どもたちを送り出した。5教科にも強く、卒業生のうち 10人以上の子どもたちを進学校の入試で合格にみちびいている。木曽社長は「発達障がい、グレーゾーンといっても多くの子どもたちは学校の普通学級に通い、日常生活も問題なく送り、過度に不安視することはない」といいきる。
独自の指導法で子どもの可能性を無限に
そして、木曽社長は日本の教育の現状について「5教科に偏重し、子どもの可能性を狭めている」と指摘し、米国生まれのギフテッド教育を指導に取り入れている。「ギフテッド教育とは1教科でもいいから得意分野を徹底的に伸ばし、天才を生む指導法といわれる」と木曽社長。「発達障がい、グレーゾーンの子にもギフテッド教育を提供し、才能を開花させたい」と話す。月々の授業料は4600円で保護者の負担も軽い。木曽社長は目下、教育大学とタッグを組み、自身の考案した指導法をシステム化して全国展開する構想をあたためている。「当校が全国に150校に増えて指導法が普及すれば『発達障がい、グレーゾーン』という言葉は死語になると確信する」とビジョンを描く。
(株)フルスイングリージェンシー
大阪府岸和田市大町475-19-2 TEL:0120-520-560
設立:2015年 従業員:28名 資本金:50万円
HP:https://fullswing-ac.sakura.ne.jp/
松原美華さん
大阪産業創造館創業支援チーム
学習塾をやっていたことから「子どもたち一人ひとりの可能性を伸ばしてあげたい」という思いが強い木曽さん。その思いから、昨今増えている学習障がいやグレーゾーンの生徒に向けてギフテッド教育を取り入れた学習システムを開発されました。一方で、大学受験や就職において、得意分野を生かした採用方法も普及してきています。同社が提供する学習システムによって、社会で活躍できる子どもたちが増えていくことを期待しています。
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