現在、全国約60紙の地域紙と媒体交換・情報配信などを行っている東方通信社。『地域便』ではそのネットワークを生かし、各地の「ご当地ニュース」のなかから注目記事を配信‼ 地域紙ならではの地元密着目線での記事をお届けします。今回の注目記事は9月13日付の『桐生タイムス』に掲載された群馬大学発、産官学民連携のGX 事業。県内の「未利用資源」を活用してあらたな産業を生み出す仕組みをつくろうと、9月5日、桐生市でキックオフシンポジウムが開かれた。
群馬県は全国有数の農産品生産量、畜産飼育頭数、森林資源を誇り、食品産業も活発だ。これらの産業から排出される食品廃棄物、農業残渣、畜産耕せつ物、林産残材、下水汚泥といった「ごみ」は、実は「有機性炭素資源」として脱炭素時代の重要な資源になり得るという。この「ごみ」=「未利用資源」を生かし、地域の産業創出を目指すあらたな研究開発事業案を群馬大学が提案。今秋、これが県の助成金事業に採択され、9月5日にキックオフシンポジウムが開かれた。
群馬大学の事業モデルでは、県内に分散しているマイクロ小水力や小規模太陽光エネルギーを収集・利用しつつ上述の未利用資源を「資源循環ハブ」という拠点に運び集める。さらに、県内の温泉・地熱などの自然エネルギーも活用しながら、変換して利用する仕組みをつくり上げようとしている。まずは向こう3年で土台となる技術を確立し、それから10年~30年先を見据えてシステムを構築していくという。この事業の大きな目標は「ごみ」=「未利用資源 」から「 売れる商品」をつくり出し「地域の稼ぐ力」につなげることだ。
シンポジウムで登壇した大学院理工学府の野田玲治准教授によれば、具体的には「未利用資源からバイオプラスチックやバイオポリマー、e-fuel、医薬品などを生み出し、地場産業化する。もちろん、これらモノづくりの過程で生じた「『ごみ』をエネルギーに変換することで、未利用資源を最大限利用する」という。これが実現すれば、脱炭素に向けた取り組みと地域経済活性化が両立する。群大発、産官学民連携の地域創生事業として、今後ますます注目を浴びそうだ。
桐生タイムス
TEL:0920-52-0235
1945年創刊 発行部数1万1000部
群馬県東部桐生市・みどり市を主エリアとする。
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本記事は地域における〝産業栽培〟をテーマとした月刊『コロンブス』11月号に掲載されています。ぜひご一読ください。