国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(令和5年)」によれば、日本の生産年齢(15 ~ 64歳)人口は2070年には4535万人まで減少し、その割合は20年の約60㌫から約52㌫にまで落ち込むという。リクルートワークス研究所がこうした人口動態統計をもとに2040年の労働需給をシミュレーションしたレポート「未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」では、「30年には約341万人、40年には約1100万人の労働供給不足」が発生すると警鐘を鳴らしている。事実、すでにあらゆる分野で人手不足が深刻化している。帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2024年10月)」では、人手不足と感じている企業の割合が51.7㌫に。このままでは地域経済の低迷はもちろん、道路などのインフラのメンテナンスや災害後の復旧が滞ったり、介護・医療サービスが行き届かなかったり、物流網が途絶したりと、われわれの社会生活の基盤に亀裂が入るのは時間の問題だ。

こうしたなか、外国人労働者の存在感が急速に高まっている。出入国在留管理庁の発表によれば、2024年上半期の観光客などを含む新規入国者は1641万人で前年同期より61.6㌫増え、6月末時点の在留外国人は359万人と同5.2㌫増で過去最多を更新した。㈱日経リサーチの「第42回サービス業調査」によれば、人手不足対策として「外国人の採用」を挙げた企業の割合は15.7㌫で、「団塊世代の定年退職者の再雇用」(13.4㌫)を上回ったという。一時しのぎの労働力ではなく、長期的な戦力として外国人材に望みをかける企業が増えているのだ。このニーズの高まりを受け、政府は今年6月、技能実習制度に代わって「育成就労」を新設するための法改正を国会で可決・成立させた。新制度では外国籍住民をたんなる労働力ではなく、地域の生活者・住民としてサポートし、社会参画を促す仕組みを構築することが地方自治体に求められている。今後、日本社会を支える一員、地域社会の一員として外国人をどう迎え入れていくか、いかに「多文化共生」社会の基盤をつくるかが大きな課題となっている。そこで月刊『コロンブス』では「外国人材を活用したまちづくり創生」を特集、〝日本のブラジル〟とも呼ばれる「多文化共生」先進地、群馬県大泉町を現地取材したほか、全国の市町村へのアンケート調査も行い、地域が実践する「多文化共生」はどうあるべきかをジックリと探ってみた。

(つづきは誌面で!)