リンゴの産地、長野県飯綱町は農作業がストレス軽減に効果があるという医学データにもとづき、その効果をリンゴに特化して測定するため、一般市民から参加者を募ってリンゴ収穫と同時にストレス測定を行った。

人間の体内には、ストレスを感じると分泌が活発になるコルチゾール、反対に幸福感に浸ると増えるオキシトシンというホルモンが存在する。順天堂大学  緩和医療学研究室の研究 チームはこのふたつの成分量の増減と農作業との関係性に着目。人間は農作業をするとコルチゾールが減り、オキシトシンが増加するというデータを得た。同町は「リンゴの収穫でストレスを発散しよう」とのスローガンを掲げ、担い手の拡大につなげたいと考え、今回、実際に効果を確認するための測定を大学と協力して今年10~11月に4回開催し、県内外から30~50代の男女約50人が参加。  果実の収穫作業のほか、葉を間引きして果実に太陽光をあてる作業に汗を流した。参加者から作業の前後に唾液を採取し、ふたつのホルモンの増減を測定、年明けに結果を当事者に伝える。同町によると、参加者はデスクワークの仕事をしている人が多く、「自然に囲まれて農作業すると感覚的だけでもストレスが発散された気がする」と好意的な声が寄せられたという。

同町はリンゴがふるさと納税サイトで売り上げ 1位に輝くなど、国内有数の産地だ。その一方、生産農家の減少が深刻化し、「リンゴのまち」の存続に黄信号がともっている。町の担当者は「ストレス軽減は景観の良さの影響も受けるようなので、飯綱町内でどのくらいの効果があるのかを測定し、効果を確認できれば、それを広く発信したい」「『リンゴで癒される』旅行商品の開発や企業の福利厚生として農作業受入などの可能性も探っていきたい」と話している。

(問い合わせ先)
長野県飯綱町役場
TEL:026-253-4765
https://www.town.iizuna.nagano.jp/docs/11140.html

リンゴ収穫に汗を流した参加者たち