家電業界の受発注業務をクラウド型EDIで効率化

ソフトウエア関連用語で「EDI」という略語をご存じだろうか。これは「Electronic・Data・Interchange」(電子データ交換)の頭文字を取った言葉で、企業や行政機関がコンピューターを ネットワークにつなぎ、伝票や文書を電子データで自動的に交換するシステムのことだ。ソフトウエア開発の㈱Yはクラウド型のEDIシステムを編み出し、大手家電量販店の㈱ヨドバシカメラ(東京)に製品を卸す中小家電メーカーなどの受発注や出荷、請求、支払いの各業務のデジタル化をサポートしている。

小林幹直社長(46歳)によると「家電業界といえども大手企業を除けば受発注などの業務はいまだに電話やファックスなどのアナログ機器が使用されている例が少なくなく、業務効率化のさまたげになっている」という。だが、同社のEDIシステムを導入すれば、デジタルで管理することが可能になり、省人・省力化やペーパーレス化、コスト削減など全般的に業務効率化をはかることができる。しかも「当社のシステムはクラウド型なので、手持ちのパソコンさえあればいつでもどこでも管理できる」と小林社長は利点を強調する。

小林社長は同社設立以前にも同業種の企業を長年経営していた。当時は業務のデジタル化が比較的遅れていた旅行業界に目をつけ、それまでファックスで発券していた格安航空券販売サイトにシステムを納入。すると、そのサイトの売り上げが飛躍的に伸びたうえに省人化によるコスト削減にも成功し、収益が激増。その利益の大部分を広告費にあてることができ、業界トップに躍り出たという。小林社長は「業界の課題に着目し、適切なソリューションを提供することで業績に貢献できた」と振り返る。

クラウド型EDIはどんな製品の流通にも対応
EDIによって業務効率化

デジタルで「流通革命」目指す

現在、同社は設立1年余りの若い企業とあって、目下のシステム納入先はヨドバシカメラと取り引きするメーカー数十社のみ。初期費用無料キャンペーンのほか、月額3万円という割安な運用費を前面に打ち出し、顧客獲得をすすめている。小林社長は「旅行業界のときと同様、ニーズに沿ったソリューションだと確信している。地道に営業を重ねることで、ニーズを掘り起こしていきたい」と意欲的だ。また「家電販売にかぎらず、スーパーや卸売市場などの流通業界全般がデジタル化のテンポが遅く、販路開拓の余地はまだまだ残っている」と目を輝かせる。中小企業の流通革命を推進する一翼となりうる企業である。

「EDIで流通革命を起こしたい」と語る小林社長
開放的なYのオフィス

白井達郎さん
㈱産学共同システム研究所 代表取締役

小林社長は大学院の時代に指導教授のもとでIT 企業を創業し、クラウドをベースとしたさまざまなアプリケーションの開発を行ってきました。㈱ Y は小林社長のこれまでの実績を踏まえ、「EDI クラウド」というあらたな領域にチャレンジするため立ち上げた会社です。すでに㈱ヨドバシカメラなどが同社のシステムを導入し、受発注のデジタル化を実現しています。低コストで幅広い業務内容に活用できるので、今後、ますます浸透していくと思います。同社の活躍を期待しています。