大手文具・菓子メーカーとのコラボ商品も販売

石垣島の人が親しみを込めて「ゲンキくん」と呼ぶ少年キャラクター。正式名称「ゲンキ坊や」は、㈱八重山ゲンキ乳業が創業当時から使っているキャラクターで、昭和レトロ感たっぷりの絵柄が今も人気を集めている。「ゲンキ坊やが一番の営業マン」と営業部長の新研次郎さん(37歳)がいうように、同社は毎日搾乳した生乳100%の「ゲンキ牛乳」のほか、ゲンキくんのキャラクターグッズも販売。アイテム数はTシャツや文具など約400種にのぼり、観光客にも愛される〝島の顔〟になっている。

同社は1963年にゲンキ牛乳の製造を開始し、その10年後には清涼飲料「ゲンキクール」を発売。その後、商品ラインアップを増やし、今では牛乳や清涼飲料のほか、珈琲入り清涼飲料のゲンキカフェやさんぴん茶(ジャスミン茶)ミルクティーなど、合計で一日約3tを製造している。しかも、いずれも八重山諸島でしか味わえないとあって、地域住民はもちろん、八重山ファンたちの心をガッチリ掴んでいる。「味にはゼッタイの自信があるが、島外で販売するには輸送面などさまざまなハードルがある。中長期での経営戦略を考えた場合、あえて徹底した『地域限定』をウリに着実に成長を遂げていきたい」と新さん。

このご当地感戦略を推進するためのグッズ拡張や牛乳加工品販売も好調だ。その一環として、2019年にグッズ店「ゲンキショップ」を開設し、22年には石垣島離島ターミナル近くに牛乳加工品専門店「ゲンキみるく」をオープン。ゲンキクールをサイダー化した商品を手始めにヨーグルトシェイクやチーズケーキ、食パン、ジェラートなどを販売し、注目を集めている。「石垣島の生乳のブランド化に取り組む㈱おきなわプロジェクトとパートナー契約を結んで運営を委託し、キャラクターグッズ展開も含め、ブランディングを積極的にすすめている」という。ちなみに、グッズでは三菱鉛筆やショウワノートなどの文具メーカーとノートやボールペンでコラボ商品を開発し、ラインアップを拡大中だ。

「ゲンキショップ」ではゲンキくんをあしらった多くのグッズが揃う
ゲンキ牛乳を使ったチーズケーキもあらたに登場

島外に出すのは、ふるさと納税返礼品のみ!

こうした取り組みとともに、地域貢献にも取り組んでいる。2年ほど前に「自社商品を島外に出す唯一の例外」としてふるさと納税返礼品に登録したのもそのためだ。「地域限定というスタイルは石垣島の魅力があってこそ成立する。そこで、島に少しでも貢献するためにふるさと納税に参画することにした」という。地元を愛する日本最南端の〝元気〟な乳業メーカーである。

牛乳加工品専門店「ゲンキみるく」で人気のジェラート
「ご当地感を最大限にすることが重要」と話す営業部長の新さん

池原優さん
㈱池原酒造 代表

㈱八重山ゲンキ乳業は「八重山の健康づくりに奉仕する」「島の酪農業を守る」をモットーに、ゲンキ牛乳や清涼飲料など島民の食生活に欠かせない商品をつくる石垣島を代表する企業です。「ゲンキくん」は島のご当地キャラとしてTシャツなども販売されるようになり、島外でも有名になってきています。また、同社の堅実な経営の仕方など、同じ製造業を担う者として参考になるところがあります。今後の同社のますますの発展を祈念します。