20年以上支持される大ヒット商品
地元・ 沖縄産の素材を生 かした飲料品の販売を手掛けている㈲オペレーションシステムズ。主力商品は「大宜味村産100%青切りシークヮサー」と「琉球もろみ酢黒糖入り」のふたつで、 前者は長寿で知られる大宜味村のシークヮサーの100%飲料。血糖値を抑えるノビチレンを含む皮ごと丸搾りしたもので、何度もろ過して口当たりをまろやかにし、甘味と酸味、かんきつ系の苦味をバランスよく仕上げている。阿部正夫社長(90歳)のひとり娘で副社長の和夏子氏(30歳)によると「炭酸水で割ったり、アルコールの割り材として用いたりするのがオススメ」だという。
そして、もう一方の琉球もろみ酢黒糖入りは沖縄の地酒、泡盛の蒸留過程で出るもろみを搾って発酵させ、黒糖とザラメ、三温糖の3種の砂糖を混ぜ、飲みやすい味に仕上げた逸品。「こちらも水や炭酸水で割って飲むとおいしい。地元の人はショットグラスに注いでストレートでグイッと飲む」そうだ。ちなみに、もろみ酢は2000年代のちゅらさんブームで消費量が一気に伸びた半面、品質の劣る製品も出回り、一時、同社の売り上げも落ち込んだことがあったそうだ。そこで「もろみの含有率を75%に上げたり、公的認証を受けて品質をアピールしたりして、テコ入れをはかった」と和夏子氏は話す。そのかいもあって、現在は累計1300万本の販売実績を誇る看板商品に成長。大宜味村産100%青切りシークヮサーとともに発売以来、20年以上売れつづけており、国内のほか米国や香港でも販売されているという。
ひとり娘が一念発起し、家業を承継
ところで、同社はもともとホテルの経営コンサルタント業として正夫氏が創業し、その後、健康食品販売に業態を変えた歴史を持つ。その業歴から今も宿泊業界とのパイプがあり、地県産マンゴーのお中元など、ホテル運営会社からの注文があるという。他方、和夏子氏はかつて大阪で不動産関係の仕事をしていたそうで、「当初は会社を継ぐつもりはなかったが、地元の人に愛されている商品を途絶えさせるのはもったいない」と一念発起して家業を承継することを決意。代後半でUターンし、経営に参画、今では全国の展示会に積極的に出展している。
ふたりが一貫してこだわっているのは地元素材を大切にすることだ。「素材を安定的に買い取ることで生産農家や泡盛メーカーの経営を下支えしたい」と話す。さらに、和夏子氏は不動産会社時代に得た宅地建物取引士の資格を生かし、1次産業を盛り立てる土地開発事業への参入も視野に入れている。地元愛に満ちた同社の取り組みから目がはなせない。

㈲オペレーションシステムズ
沖縄県那覇市山下町18-65-2F TEL:098-840-1231
設立:1996年 従業員:4名 資本金:960万円
HP:https://www.opesys.net/

野口正幸さん
特産品プランのぐち 代表
私は以前、㈱三越伊勢丹で食品を担当していましたが、その経験を踏まえても、同社の「シークァーサー原液」と泡盛の副産物からできる「もろみ酢」は魅力的です。いずれも沖縄健康食品の代名詞といえる商品です。とくにもろみ酢は県内3社の泡盛酒造会社のもろみ酢を別々に提案しています。和夏子さんはお父様である社長の後任を目指して、現在、営業や商品開発に奮闘しています。今後もあらたな商品の企画を打ち出してくれることを期待しています。

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