チーズ専門工場発祥の地で100年つづく和菓子店

日本初のチーズ専門工場が生まれたまち、北海道胆振地域の安平町に、創業1898年(明治30年)と100年以上つづく老舗和菓子店がある。超ロングセラー商品の北海道銘菓「チーズ羊羹」を世に送り出した㈱早来かりんず(旧社名 : 宮本製菓)がそれだ。ブドウのような黒紫色の〝幻の果実〟、ハスカップを使った商品も大人気で、地元農産物に着目した製品開発をつづけている。

野菜ソムリエやフードアナリストとしての知見も生かし、リーフレットやSNSで情報発信している4代目の遠藤満知子社長(53歳)は「最近は催事への出展を機にリピーターになってくれる人が増えている」と話す。それもそのはず、同社の商品にはさまざまな工夫が凝らされている。たとえば、ポリフェノールの含有量がブルーベリーの5.5倍といわれるハスカップについては、皮がかなり薄く、手摘みでしかとれないという取り扱いの難しさを克服するためにフルーツソースに加工し「ハスカップの認知度アップにも役立っている」と遠藤社長。「ハスカップゼリーやジャム、チーズ羊羹といった定番商品は通販も含めて全国で販売している。

また、道の駅『あびらD51ステーション』のシンボル商品でもある『デゴイチチョコ最中』などは地域限定の観光商品としても活用してもらっている」という。

 

看板商品のチーズ羊羹とハスカップソース
創業 100 年を超える和菓子屋はなくてはならない存在

地域密着の和菓子屋が全国に届ける故郷の味

定番商品に関しては、東北や関東、さらには催事で大好評だった大阪や奈良の百貨店でも販売しているが、最近は宮城県川崎町のボートレース場「ボートピア川崎」にも卸しはじめている。この5月末オープンのレストランではハスカップソースを使った料理が提供されるほか、チーズ羊羹なども販売されるそうだ。

さらに、地元・安平町ではこの秋、同町と地域創生に関する包括連携協定を結んでいる自動車部品メーカー、㈱ダイナックス(千歳市)が新規事業としてみずからブドウ栽培に取り組みながらワイナリーをオープンするとのことで「ワインに合う商品を考えたい」と遠藤社長は意気込んでいる。

4月からは道内FM局のラジオショッピングへの出品もはじまるなど、まさに絶好調の同社だが、「これからも自然の味をそのまま届けること、そして地域に密着していくことを大切にしつづけたい」と実に頼もしい。まさに地域の魅力度アップに欠かせない老舗である。

催事には積極的に出展、リピーターも多いという
「まちが盛り上がる商品を考えていきたい」と話す遠藤さん

及川秀一郎さん
安平町長

老舗菓子店「早来かりんず」は、 1959 年からつづく伝統の味「チーズ羊羹」を提供しています。チーズ嫌いな方でも楽しめる優しい味わいで、地元のソウルフードとして親しまれています。道の駅「あびらD51 ステーション」では、北海道特産のハスカップを使った商品も人気です。全国菓子大博覧会での受賞歴もあり、故郷の味として愛されつづけています。懐かしさとこだわりの詰まった逸品をぜひお試しください。