『コロンブスTV』 東京多摩ぶらり旅 案内役 山本哲也
1956 年山口県萩市出身。中央大学法学部を卒業後、80 年にNHKに入局。長年にわたりエグゼクティブアナウンサーとして活躍してきた経験豊富なメディアパーソナリティ。現在はフリーアナウンサーとして、NHK の『小さな旅』『ラジオ深夜便』に出演するかたわら、大学でコミュニケーション論の教鞭をとるなど多方面で活躍中。
市民と市内の映画館来場者が
選ぶ「映画のまち調布賞」
多摩地域東部に位置する調布市が「映画のまち」と呼ばれるようになったのは、1933年に日本映画㈱が京王電気軌道多摩川原駅(現在の京王多摩川駅)前に多摩川撮影所を開設してからのこと。大映や日活の撮影所とあわせて〝東洋のハリウッド〟とも称されるほど活気があったそうだ。そしてもちろん、ときを経て現在も市内には角川大映スタジオや日活調布撮影所、ジャンゴフィルム、高津装飾美術、白組、東映ラボ・テック、石原音楽出版社など約40社の映画・映像関連企業があり、映画やドラマが盛んに製作されている。
そんな映画のまちを訪れた山本哲也さんの第一歩は調布市文化会館だった。ここは映画のまち調布シネマフェスティバルの会場だ。この会場では2019年から毎年2・3月に映画祭が開催されてきた。今年は2月22日に「第7回映画のまち調布賞」の
授賞式が行われた。この賞の対象作品は2023年9月1日から2024年8月末までに国内の商業映画劇場で有料公開された日本映画で、調布市民と市内の映画館来場者の投票によって上位10作品が選ばれるという。今年の作品は179本、投票数は1万3695票で、上位10作品のなかから選考委員が各賞を決定した。
数ある賞のうち、「撮影賞」を受賞したのは小林拓氏が撮影を手掛けた『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』。現代の女子高生の百合が1945年の日本にタイムスリップし、そこで彰と出会い惹かれていくのだが、彰は特攻隊員として戦地に飛ぶ運命だった、というストーリーの作品だ。山本さんは授賞式に前後して開催された上映会でこの作品を鑑賞し、「私は戦後10年に生まれた世代だから直接、戦争を体験していないが、こうした作品を通して戦争を描き、広く平和の大切さを伝えることがいかに重要か、あらためて実感した」としみじみ感想を語った。
そして「この素晴らしいストーリーを撮影技術で支え、作品の完成度を高めたカメラマンにぜひ話を聞きたい!」と撮影を手掛けた小林拓さんにインタビュー。カメラマン目線での作品の見所を聞いてみると「俳優の方たちの熱量がとにかくすごい」と。「たとえば、自分が発言していなかったり、ピントがあっていない場面でも表情や動きに気を抜かず全力で演じていた。そうしたところまですべて映すことができたと思うので、彼らの芝居をジックリ見てほしい」と話していた。製作スタッフからは「作品はブルーレイや動画サブスクリプションサービスで視聴できるので、鑑賞してみてほしい」とPRが。
映画ファンにはたまらない
資料盛りだくさんの図書館
映画祭につづいて、山本さんは同じ建物で同時開催されていた「出張!映画資料室 日活調布撮影所70 周年&VFXの作品たち」も見学。調布市立中央図書館の須川綾子さんから展示内容の説明を受けた。山本さんがとくに興味を惹かれたのは、VFXにスポットを当てたコーナーにあった1954年の「桐朋女子中学校・高等学校の教務日誌」のコピーだ。1954年といえば、映画『ゴジラ』の第1作が製作された年。その教務日誌の9月24日のページには「午後1時半から東宝映画の撮影、講堂にて、高等科全員出演」という文字が。須川さんによればこの日、『ゴジラ』のなかでも印象的な「平和への祈り」の合唱場面が撮影されたそうだ。
「もっといろいろと映画関係の貴重な資料がある」という須川さんの案内で、山本さんはさらに同館内の映画資料室や地下書庫(通常、一般の立ち入りは禁止)へ。地下書庫には約3800タイトルの映画パンフレットがあり、移動式ラックには約3200タイトルの映画撮影台本も。「映画製作者たちの息遣いを感じられる貴重な場だ」と山本さん。ちなみに、これらの資料の貸し出しは行われていないが、一部、館内で閲覧できるため、映画製作を学ぶ学生や若手クリエイターなどが訪れることも多いとか。
地域密着の映画祭から貴重な映画資料に触れられる図書館まで、映画のまちを満喫した山本さん、ぶらり旅の締めくくりには思わず「もう一本、映画を見てから帰ります」と。映画ファンや映画製作に携わっている人はぜひ調布に出掛けてほしい。
月刊『コロンブス』の公式YouTubeチャンネル『コロンブスTV』では、今回の「映画のまち調布」の様子をより詳細に動画でお伝えしている。ぜひ合わせてご覧いただきたい。











