独自の加工技術でパートナーシップを築く

大手住宅設備や大手事務機器、建設用重機などのメーカーに2次サプライヤーとして金属プレス部品や板金加工部品などを供給する㈱M.T.C(奈良県大和高田市)は、先代夫婦が家内工業ではじめた森製作所がルーツだ。息子で現社長の森久次氏(63歳)がすすめた法人化と積極的な設備投資、そしてつぎの世代が推し進めたDX化で、経済産業省の「DX認定事業者」と「パートナーシップ構築大賞」中小企業特別賞を相次いで獲得した。

創業当時の森製作所はドアロックの部品やカッターナイフの部品をプレス機で加工する町工場だった。中学生だった森社長が県内の工業高校を進学先に選んだ理由は「大好きだったバスケットの強豪校」で、家業を継ぐためではなかった。しかし、父親が大病をしたため、母親を助けるつもりでこの道に入った。森社長には「人材が集まる会社にしたい」という夢があった。

父親は最後まで法人化に反対していたが、森社長は単発プレスだけだった工場に、順送プレスを導入。大量生産にも対応できるようにした。得意先が自動車や住宅設備など多岐にわたってくると、コストダウンの要求も厳しくなった。そこで創意工夫による独自の加工技術により、工程の短縮化を実現。メーカー側にもあらたな工程を提案するなどして信用を得ていった。今年3月に受賞した「パートナーシップ構築大賞」はこうした企業の姿勢が評価された結果だ。

金属板を折り曲げるプレスベンダー機を使った作業
3月の「パートナーシップ構築大賞」受賞式でスピーチする森久次社長

次世代社員が推進するDX化

M.T.Cが独自に開発したのは、 AI搭載画像判別センサーを使った生産ラインの検品システム。若手社員が中心となってAI画像カメラセンサーを使った自動検品システムを構築。それまでの目視作業に代わり、不良品が見つかれば、ラインを自動で止めたり、警告音で知らせたりできるようにした。

M.T.CはこのようにDXを活用して発注元のクライアント企業にもこの検品システムを使えるようにした。中心になったのが森社長の長男の秀貴専務(35歳)だ。「息子は小学生のときから、システムの知識と技術を自然に習得したのでしょう」と森社長は笑う。

3次サプライヤーの協力会社の支援も惜しまない。協力会社にこのシステムを貸し出すほか、費用的に導入が難しい場合は、自治体などへの補助金申請の方法などを支援する。「せっかく開発したシステムを他社に教えるのは惜しくないか」と尋ねると、「不良品は出さないということが一番。それに仲間が効率的にもうかれば、それにこしたことはない」と答えた。

独自開発したAI搭載画像判別センサー
二上山を背に勢ぞろいしたM .T. C社員たち

西野友浩さん
(公財)奈良県地域産業振興センター
奈良県よろず支援拠点コーディネーター

「より良い提案ができ 良きパートナーとして 求められる企業として存続する」を経営理念とし、提案力×応用力×対応力を強みとする㈱ M.T.C は、1968 年(昭和 43 年)創業の歴史のある企業です。豪放闊達でありながらも英明果断な森社長の下、工程の自動化、業務の自動化などDX 化を積極的にすすめており、奈良県初の「DX 推進ポータル」の認定を受けるなど、本県の DX 推進をリードしています。