「人に与えれば、人からも与えられる」
広島県尾道市にある㈱コアブリッジは、防災事業を手掛ける国内のトップランナー企業だ。創業から7年で年商は4000万円から1億8000万円に急成長。その秘訣を、社長の坂口公彦氏(55歳)は「他社がやりたがらないことも、顧客目線で引き受ける。従業員の人間力が会社の強みだ」と言い切る。防災士の資格を持つ坂口氏。かつては太陽光発電大手の上場企業で働きながら、休日などを使って被災地に入り、ボランティア活動をつづけていた。「倒壊した家屋のもろさを目の当たりにして、いつかは防災の仕事をと考えるようになった」という。
転機は48歳のとき。先に会社を辞めた先輩に誘われ、ふたりで今の会社を立ち上げた。しかし、会社設立から3カ月もたたないうちに先輩が病に倒れ、急逝してしまったという。坂口氏は先輩が亡くなるまでの2カ月間、病院に毎日通い、先輩から会社経営のノウハウを学んだ。先輩が残してくれた言葉は今も会社経営の指針になっている。「当初は耐震シェルターを軸にしていたが、コストが高くて一般家庭で受け入れてもらえず、苦戦した」と振り返る。そうしたときに坂口氏が思い出したのが「人に与えれば、人からも与えられる」という先輩の言葉だった。
尾道市は坂が多く、クルマが入っていけないエリアもある。不用品の回収や空き家の後片付け、草刈りなど、単価は低いが地域の困りごとを請け負うようにした。すると、住民からは「シェルターは高くて買えないが、うちの耐震補強を頼めないか」といった依頼が舞い込むようになった。寺院の清掃管理もこうしたなかではじまった。たとえば千光寺では、山の中腹に広がる境内でコアブリッジのシニアスタッフが交代で清掃活動をつづけている。地震などの災害時には、防災研修を受けたシニアスタッフが観光客を安全な場所へと誘導する。こうした取り組みが認められ、別の寺院からも委託が増えている。
「コンシェルジュ」精神で販路を拡大
コアブリッジの営業は従業員のキャリアや人間力に支えられている。防災士の資格を持つ従業員たちが普段から地域を歩いたり、防災イベントに参加したりして、「困りごと」に耳を傾ける。そこで話題に出た草刈りや樹木の伐採といった一見、防災と関係のない仕事を通じて、非常食セットや防災グッズの配送、非常時に役立つ太陽光発電設備の設置、家屋の補強工事などの受注につなげている。坂口社長は「ニッチな仕事をすすんでやるのが会社のポリシー。わが家、わが地域のコンシェルジュと思ってもらえれば」と話す。同じポリシーを持った会社が全国に広がることを夢見ている。
(株)コアブリッジ
広島県尾道市山波町2301-7 TEL:0848-36-6833
設立:2015年 従業員:14名 資本金:100万円
HP:https://www.corebridge-onomichi.com/
多田真祥さん
尾道大宝山 千光寺住職
千光寺は山にある寺なので、天災と隣り合わせです。寺院の樋や溝に落ち葉や土砂がたまると、大水につながってしまいます。その清掃の人手が足りず困っていたら、ご縁があったコアブリッジさんがすぐに対応してくれました。ほかにも何か困りごとがあると、スタッフが現場に駆けつけてくれます。当寺院では年間を通じた清掃と防災の管理を同社に委託するようになりました。仕事ぶりに信頼を寄せており、ほかの寺院にも推薦しています。
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