(上写真)物忌奈神社の境内を歩く田中さん夫婦。観光アプリを使って散策すれば、神津島のあらたな魅力を知ることができる

観光アプリ「アプリでガッツリ神津島」を使って、「みんなの別荘ファミリア」の田中さん夫婦と一緒に神津島を深掘り散策!
神津島ならではの歴史・文化が感じられるスポットを巡ってみた。

なお、『島へ。』2022年8月号では神津島とこの観光アプリのことを特集で取り上げているので、ご興味がおありの方はぜひ書店やネット通販でお買い求めください‼
「アプリでガッツリ神津島」のマップ。アプリ上でサイコロを振り、バーチャルな「すごろくゲーム」を楽しめるほか、ゆくゆくはGPS音声ガイドも利用できるようになるという。なお、このページで紹介したスポットはアプリでも取り上げられている。マップ上の数字は以下のスポット紹介のナンバリングと対応

(1)物忌奈命神社

神事「かつお釣り」が執り行われる
神津島の名神大社

神津島には、全国に2861あるといわれている神社のなかでもとくに霊験あらたかとされる「名神大社」(全国で224社)が2社ある。そのひとつがこの物忌奈命神社(ものいみなのみこと)で、祭神である物忌奈命は事代主神(ことしろぬしのかみ)(三島神社の祭神)と阿波命神社(あわのみこと)に祀られている阿波命の長子にあたる神様。拝殿や本殿は社格をあらわすように実に荘厳で、樹齢数百年のご神木(タブの木)も神秘的な雰囲気を漂わせている。神津島ならではの神事も脈々と受け継がれており、なかでもユニークなのが毎年8月2日に行われる物忌奈命神社例大祭の神事「かつお釣り」。国の重要無形民俗文化財に指定されており、3~4組の若者たちが青竹を舟に見立てて、かつお漁の一連の所作を表現するという。
〈住所:神津島村41〉

荘厳な雰囲気の境内と社殿
樹齢数百年といわれるご神木

(2)水配り像

「水配り神話」を想起させる
前浜海岸のシンボル

前浜海岸にある「水配り神話」にまつわるモニュメント。その神話の内容はつぎのようなものだ。伊豆諸島の神々が各島に水を分けるための会議を神津島の天上山の頂(不入が沢)で開いたが、結論が出なかったのでやむを得ず、翌日先着順に分配することに。一番はやく着いたのは御蔵島で、その後は新島、八丈島、三宅島、大島とつづき、最後が利島の神様だったという。ところが、利島の神様が訪れたときには水がほとんど残っておらず、怒った利島の神様はわずかに水が残った池に飛び込んだ。すると、その水が四方八方に飛び散り、神津島ではいたるところに水が湧き出るようになったという。前浜海岸の美しいビーチとこの像を眺めながら、神津島のルーツに思いを馳せてみてはどうだろうか。
〈住所:神津島前浜海岸〉

水配り神話の様子を再現した水配り像
水配り像がある前浜海岸は、夏場になると大勢の観光客でにぎわう。サーフポイントとしても人気のスポットだ

(3)ジュリアの十字架

おたあジュリアを偲んで建てられた
ありま展望台近くの巨大十字架

悲劇的な人生を歩んだキリシタン、おたあジュリアを偲んで建てられた十字架。ジュリアは1592年の朝鮮出兵の際に日本に連れてこられた朝鮮人で、その後、キリシタン大名の小西行長のもとでジュリアの洗礼名を受けることに。ところが、関ケ原の戦いで西軍の将であった小西行長が敗れたため、それ以降は徳川家康に召し抱えられることに。しかし、江戸幕府がキリスト教禁教令を公布した後もジュリアがかたくなに改宗を拒んだことから、1612年に神津島に流されてしまったという。
〈住所:神津島村鴎穴〉

近くにはありま展望台があり、前浜港や集落を一望することができる
思いのほか巨大な十字架

(4)阿波命神社

神津島の開拓神を祀る
由緒正しい名神大社

伊豆の島々をつくりあげた事代主命には8人の妃があり、各島に妃(きさき)を置いたという。阿波命はその8人の妃のひとりで、もっとも格式の高い女神だったそうだ。そのため、阿波命を祀るこの神社も格式が高く、物忌奈命神社と同じく名神大社となっている。毎年4月15日には阿波命例大祭が行われ、島民たちは神社の前にある長浜海岸で平たい石を拾い、その上に濡れた砂を載せてから鳥居の下に供え、参拝に向かう。なお、長浜は色とりどりの石があることから五色浜という異名を持つが、その石を持ち帰るとたたりにあうといわれている。
〈住所:神津島村長浜1-2〉

阿波命神社の社殿。「阿波」という名が示す通り、阿波国(徳島県)をルーツとする説もある
鳥居の下に供えられた平たい石

(5)多幸湧水

島民たちも愛用している
豊富で良質な名湧水

豊富な湧水があることで知られる神津島のなかでも、多幸湾・三浦漁港にほど近くアプローチしやすい場所にある湧水。「東京の名湧水57選」のひとつにも選定されており、冷涼でスッキリとした飲み口がたまらない。水汲み場も整備されており、多くの島民たちがこの湧水をコーヒーや焼酎の割り水などに使用している。もちろん、観光客も利用することができるので、訪れる際には水筒などを持参しておきたい。そのほかの湧水スポットとしては、天上山の裾野の森にある「つづき湧水」などもオススメだ。
〈住所:神津島村榎〉

勢いよく流れ出る多幸湧水
近くには多幸湾海水浴場や都立多幸湾公園ファミリーキャンプ場があり、家族連れにも大人気。写真は多幸湾海水浴場と丸島

集落内にある猿田彦大神

神津島の集落には猿田彦大神を祀った石碑が26基もあり、その多くが三叉路に建てられている。その理由は病魔祓いとされているが、島をはじめて訪れた人にとっては道標(みちしるべ)にもなるので、天孫降臨の際に水先案内役を担った猿田彦大神の面目躍如といった感じも。ところで、毎年旧暦の1月25日前後には海から猿田彦大神を迎え入れる二十五日様という風習があり、その間、島民は夜間の外出を控え、家で静かにすごすのが習わしとなっている。

『島へ。』8月号では神津島やこの観光アプリに関する特集をたっぷり24ページ掲載しております。ぜひ続きは本誌でお楽しみください。

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