2023年度の4年制大学への入学者数は約62万人で進学率は57・7㌫。この割合を同年の日本人の出生数72万7277人(過去最少)に当てはめると、18年後の大学入学者数は約41万人で21万人も目減りする計算になる。これはほぼ東京神田5大学(法政、専修、中央、日本、明治)を合わせた学生数に相当する。しかも、危機は遠い先のことではなく、すでに現実のものとなっている。学生が思うように集まらず、定員割れしてしまう大学が急増しているのだ。日本私立学校振興・共済事業団によれば、2024年度時点で全私立大学の59・2㌫にも及ぶという。
こうしたなか、文部科学省は2022年度の補正予算で3002億円を確保し基金を創設、「大学・高専機能強化支援事業」を打ち出した。これは大学がデジタルやグリーンなどをはじめとする成長分野の学部を新設、転換する際の費用を助成するもので、各大学の学部再編の動きがにわかに活発化している。
他方、定員割れに陥っている大学の多くは地方の小規模大学であり、大胆な改革に着手するのが難しいケースも多い。定員充足率が著しく低いと私学助成金がカットされ、修学支援新制度(※)の対象から外されてしまうため、定員縮小などネガティブな改革をすすめる大学も出てきている。
大学は地域における高等教育の場であるとともに、地域や日本の産業界に優秀な人材を輩出する使命も負っている。人口減時代だからこそ地方の大学が元気にならなければ、地方創生や地場産業の活性化は成し遂げられない。そこで今号では大学の生き残り戦略を特集、大学関係者や関連機関、メディア、文部科学省への取材を通して学部再編や入試改革の最新動向、大学経営の実態、そして個性的な地方大学の実例を探ってみた。

(つづきは誌面で!)