雑誌・新聞の休廃刊が相ついでいる。新聞ではブロック紙や地方紙(県紙)が苦境で、2023年3月末には「静岡新聞」(静岡県)、同年9月末には「北海道新聞」(北海道)と「信濃毎日新聞」(長野県)が夕刊を休刊に。24年に入ってからも2月末、「新潟日報」(新潟県)が夕刊と同時間帯に宅配していた「おとなプラス」を休刊した。全国紙も夕刊を発行する地域を縮小しており、23年3月末には「朝日新聞」が北海道で夕刊を休刊し、「毎日新聞」も同時期に愛知、岐阜、三重の東海3県で、24年3月末には滋賀県大津市や兵庫県姫路市などでも夕刊を休刊した。その他、「日経産業新聞」が同年3月末をもって休刊、今年に入ってからも1月末に産経新聞社が半世紀以上にわたり発行してきた夕刊紙「夕刊フジ」を休刊、〝トーチュウ〟と呼ばれ親しまれてきた「東京中日スポーツ」(中日新聞社)も紙媒体での発行を終了しデジタル版へ全面移行、とまさに休刊ラッシュだ。
折からの人口減と活字ばなれに加えて、紙代やインク代などの印刷コスト、物流コストの上昇が出版社・新聞社の収益悪化に拍車をかける悪循環が常態化している。デジタル端末の普及を背景に多くの世代にとってネットメディアやネット動画、SNSで情報を得ることが主流となった今日、活字メディアはこのまま〝オールドメディア〟として淘汰されてしまうのだろうか。大手新聞社は不動産ビジネスや出版事業以外の多角経営で何とか体制を維持していけるかもしれないが、資本力を持たない地方紙や地域紙はそうはいかない。このままローカルジャーナリズムが衰退してしまっていいのか。
世界に目を向ければ、第2次トランプ政権下の米国が従来の国際協調路線から自国第一主義に転換、その利己的なディール外交による欧州とアメリカの別離は決定的となり、欧州にも移民排斥や右派台頭などの機運が高まっている。この機にあらたな覇権確立を模索するロシアや中国の動きも予断を許さない。これまでの世界秩序も脱炭素に向けた国際協調も、すべてが崩れてしまう戦後最大の危機が到来している。こうした危機の時代にこそ問われるのが、メディアによる言論、情報発信だ。偽・誤情報の拡散、誹謗中傷、世論誘導、詐欺などの温床となっているネットメディアやSNSがその役割を担えるだろうか。そうは思えない。
ウクライナ情勢やトランプ政権の動向が海の向こうの遠い話ではなく、地域経済や社会生活に甚大な影響をもたらす「自分事」であるということは、すでに原料・資材価格の高騰やサプライチェーンの途絶による地場産業の低迷、企業倒産の増加による産業の空洞化、物価高や品薄などで多くの人が実感しているはずだ。こうした事態にあって、日本政府や地域の行政がどのような対策を講じ、実践しているのか、地元の企業はどんな取り組みでこの苦境を生
き残ろうとしているのか、その動きを正確に伝え、分析し、指針を示すのがジャーナリズムの役割。とりわけローカルジャーナリズムの役割は大。地域生活に密着した知と情報のインフラだからだ。
そこで今号では、ローカルメディアのなかでももっとも小さいエリアで地域密着のジャーナリズムを担う全国の「地域紙」に向けて独自アンケート調査を実施、あわせて各紙への直接取材を行い、ローカルジャーナリズムの現状と生き残り戦略、メディアとしての展望を聞いてみた。
(つづきはぜひ月刊『コロンブス』本誌で!)
・全国133の地域紙に独自アンケートを実施‼
・そのうち70紙に電話での聞き取り調査を行い、それぞれの取り組みや戦略を取材‼
