M7.6、1000年に1 度の 大地震で
能登半島を中心に甚大な被害が発生!!

2024年の新年早々に起こった能登半島地震。家屋はなぎ倒され、漁港は隆起で使用不能に。観光地としても知られる輪島朝市通り(石川県輪島市)では大規模な火災が発生し、多くの国民がテレビの前で一帯に広がる火の海に茫然としたはず。一方で能登半島の地形的な問題もあって、発災直後は各種メディアからの報道だけでは現地の状況が把握できず、多くの人がもどかしい思いを抱いた。そうした状況のなか、輪島朝市通りの入口に支局を構える弊誌は東京から記者4名で現地入りし、現地の駐在記者1名と合流した。そこで目にしたのは一面に広がる焼け野原と憔悴しきった住民の顔だった。

震災に見舞われた輪島港
地震がもたらした漁業への甚大な影響

■強大なエネルギーで大きく動いた海岸線

国土地理院が行った宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測衛星「だいち2号」データを用いた解析によると、この地震により能登半島北部の輪島市皆月湾では約4メートルの隆起が検出され、約200メートルにわたる海岸線の変化が観測された。輪島市は最大約2メートル南西に移動し、約1.3メートル隆起した。また、同市の別地点では西方向に最大約1.2メートルの変動が観測された。珠洲市では約90センチメートル南西に移動し、約90センチメートル隆起していたことが確認されている。

一方、東京大学地震研究所の報告では、海岸隆起や津波痕跡が多数確認された。とくに輪島市の地点では約4メートルの隆起があり、海岸線が地震前に比べ最大約200メートル海にせり出したことがわかったとしている。この4メートルの隆起は、本来であれば1年間に1ミリメートルずつゆっくりと隆起するところ、本地震が発生した一瞬で単純計算4000年分もの地殻変動が起こったことになるそうだ。このことから、この地震が非常に稀な現象であったことがわかる。

能登半島北部の港が隆起したメカニズム。漁港の海底をふくむ陸側の地殻が大きく隆起したことで水位が低くなってしまったように見える

■強い力で押され、地面が隆起する逆断層が起こった

金沢大学地球惑星コース地震学研究室の平松良浩教授は、この輪島港をはじめとする能登半島北部の海底の隆起は、能登半島北部の日本海側にある逆断層の動きによるものであると分析。日本海側から陸地側に斜めに入った逆断層に力が加わったことによって港湾や砂浜を含む陸側の海底が隆起。海面の水位が下がって港の海底が露出したのではなく、海底が隆起したことで水位が下がったように見えてしまうということだ。

能登半島北部の海底の隆起は、逆断層に力が加わったことで起こったといわれる

今回の地震では「海岸線が隆起」という表現がよく使われています。
強く押し合う力によって、海にあった活断層の上盤といわれる面が押し上げられた結果によるもの。
いわゆる「逆断層」という現象なのですが、日本で起きた大きな地震にはこの逆断層が多くみられています。

■日本を取り巻くプレートのチカラ
日本は、太平洋プレート、フィリピン海プレート、ユーラシアプレート及び北米プレートの4枚のプレートが相接していて、太平洋プレートとフィリピン海プレートは日本列島の下に沈み込んでいこうとしています。それらに他のプレートが干渉されて歪みのエネルギーをため込んでいる状況。
つまり、ずっと日本の周りでは「おしくらまんじゅう」だったり、満員電車のような押し合う力がかかりっぱなしの状態なのです。

日本の地下に潜ろうとしているプレートが周囲のプレートを巻き込んでいるので常に押されている状態
海岸線に限らず、逆断層が見られ、強い力の蓄積がいかに怖いかを見せつけた